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世界初出版の"ソナチネ"

イギリスの大作曲家サー・エドワード・エルガーのピアノ曲集をこの7月に出版いたしました。
この曲集には14曲のエルガーのピアノ作品、及び「威風堂々」第1番のピアノ独奏用編曲(萩森英明さんの編曲)の合計15曲が収められています。
その中にはこれまで日本で出版がなかった作品がいくつか含まれていますが、中でも1880年代末に彼の実の姉ポリーの娘メイ(エルガーの姪。・・・駄洒落ではありません)のために作曲した《ソナチネ》 SONATINA の最初に書かれた楽譜(初稿版)が収録されています。この8歳の少女のために書かれたやさしい「ソナチネ」は、今回の出版が世界で初めての印刷譜となります。

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エルガーの《ソナチネ》は、夢見るようなゆっくりとした第1楽章(2ページ、演奏時間約2分)と、「できるだけ速く演奏して!」とエルガーがメイへ書いたメッセージがある第2楽章(4ページ、演奏時間約2分)の2つの楽章から成っています。曲そのものは、第2楽章の後半の一部をのぞいてはほぼ同じですが、一般に出版されたいわゆる「改訂版」は、エルガーが演奏者の対象を変えて書き直して出版しているため、最初の「初稿版」とは曲の印象が異なって聞こえますし、実際に楽譜の難易度は違っています。
この曲集にはその両方の版が収められています。
ぜひこの楽譜を手に取って、そして演奏して比べてみて下さい。



この他にも貴重なエルガーのオリジナルのピアノ作品を収録。
印象派風な《スミュルナで》(演奏時間 約4分半)や、シューマン風な味わいを見せながら30秒ほどで演奏があっという間に終わってしまう《グリフィネスク》など、作曲家エルガーの新しい発見も楽しめる一冊となっています。
もちろん名曲《愛のあいさつ》もオリジナル版で収録されています。