HOME  >  ピアノ   >   厳しい天気ですが、「森」はいかが?

厳しい天気ですが、「森」はいかが?

korngold_yngmn_19cm.jpg

コルンゴルトのピアノ作品集《雪だるま》のご紹介。

第3回目は、《森が語ること》(3つのピアノ小品)について。

森の都ウィーンの作曲家らしい題材で作曲されているが、やはり少年時代のコルンゴルトが1909年に書いた作品。

どの曲も見開き2ページで収まってしまう短い3つの曲で構成されていて、それぞれ独特の味わいを持っている。それら曲ごとの特徴を練習の課題に応用することで、エチュードとしての活用も出来るかもしれない。


第1曲「朝の鳥の目覚め」

次第に朝陽が昇って暁が明けていくような情景描写の中で、鳥のさえずりが聞こえてくる。特徴として並行和音と両手が反進行する書法が全体を支配している。


第2曲「恋する猟師」

長調と短調が交互に入れ替わってあたかも心落ち着かない心情を描いているよう。猟師が巡る森の情景らしくホルンの五度も聴こえてくる。6拍子の右手の旋律にはいくつかのリズム・パターンが次々と現れて変化が多いので、6拍子を上手に弾くための練習にもなりそう?


第3曲「森の妖精」

ささやくように秘めやかでしなやかなワルツ。真ん中あたりの4小節に ff がある他は、ずっと pp が最初から最後まで続けられる。


解説を書いている石田一志氏が指摘するように、恩人で作曲家としての先輩であるマーラーの影響のもとに作曲されたとも見られるが、これを書いている編集子にはいつもエリック・サティの面影がなんとなくちらついてくるのだが、あなたはどう感じるだろうか?


Krngld PW_本体_pp042_hf.jpg