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サン=サーンスの『3番』

暑いねー♬
暑いといったら情熱の国スペインだね−
でも今回はスペインの音楽の話ではなく、スペインが生んだ希代のヴァイオリニスト、サラサーテにちなむ話。

ところで話題は飛んでフランス。近代の作曲家で完成度の高い曲を書いたと評されているのが『動物の謝肉祭』で知られているサン=サーンス
そのサン=サーンスの『3番』といわれて思い浮かぶのは・・・
彼の3番まで番号の付く作品は幾つかあるけれど、「2番」までの2曲しか書いてないジャンルも結構多い。(いくつかのソナタやチェロ協奏曲など)
『3番』といってもピアノの練習曲はあまり話題に上らないし、ピアノ協奏曲の『3番』も珍しく個性的で面白い曲だけどほとんど演奏されない。
そうなると、やはりどうしても『サンサーンスの3番』といわれて思い浮かぶ代表作は〈オルガンつき〉と呼ばれて親しまれている交響曲第3番か、ヴァイオリン協奏曲第3番ということになるだろう。
サン=サーンスのヴァイオリン曲は、『序奏とロンド・カプリチオ−ソ』『ハバネラ』、そしてこの『3番』といずれも結構良く演奏されていて有名。名ピアニストとして名を馳せたサン=サーンスが書いたにしては、意外と話題に上がりにくいピアノ作品とは対照的だ。

この『ヴァイオリン協奏曲第3番』が全音のISRシリーズ(International Standard Repertoires)で来月、いよいよ登場する(9月新刊)。ヴァイオリン・パートの編集にはヴィルトゥオーソの名手として名高いソロ・ヴァイオリニストの木野雅之さんが協力している。すでにこの曲のCD録音もあり、コンサートでも度々演奏している経験をもとに、演奏、練習のための実用的なパート譜になっている。

ところで最初に書いたサラサーテのこと。忘れているわけではない。この協奏曲第3番は、彼に捧げられている。もともとこの第3楽章は、サラサーテのために作曲された『カプリース・ブリラント(華麗な奇想曲)』がもとになっている。また後に、この第3楽章をパリ国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)の試験用にも編曲もしているのだ。
サン=サーンスにとって、どれほど思い入れ多い作品だったのだろうか。
ちなみに今回の出版はピアノ伴奏譜とソロ・パート譜のセットでの出版。
ピアノ伴奏は、サン=サーンス本人が編曲している。