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「ドン・キホーテ」の音楽(これも10〜12歳の時の作曲)

コルンゴルトのピアノ作品集《雪だるま》8月15日に全音より(世界で)初めてのピアノ曲集として発売!
収録しているのは《雪だるま》《ドン・キホーテ》《森が語ること》《4つの小さい陽気なワルツ》《から騒ぎ》《シュトラウス物語》の全部で6作品。
これで定価(消費税込)1,995円は絶対お買い得です。

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今回はコルンゴルトのピアノ作品集から、2曲目に収められた《ドン・キホーテ》:ピアノのための6つの性格的小品 をご紹介します。
「ドン・キホーテ」の音楽、といってもあの大型量販店の ♪愉快なテーマ音楽♪ でないのはもちろんで、スペインの中世の作家セルバンテスが、騎士道を狂信的に賛美する風潮を痛烈に風刺した代表作『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』を読んだ子供のコルンゴルトが、音による絵画として作曲したものです。

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ところでこの作品も「雪だるま」と同じくコルンゴルト10歳〜12歳の時に作曲されたものです。それなのに、この信じがたいほどの完成度!

曲は中世の騎士道物語を読みふけっていた片田舎者が自らを「ドン・キホーテ」と名乗り、農夫サンチョ・パンサをお伴に「遍歴の騎士」として奇想天外・抱腹絶倒の冒険に出るという長ーい物語から、それぞれのエピソードではなく、登場する人物の特徴を音楽的に描くという手法によって6つの楽章にまとめています。

タイトルにある「性格的小品」とは、後期ドイツ・ロマン派の作曲家が主にピアノ曲として書いた作曲スタイルのひとつです。シューマン、ブラームスなどに代表的な作品があります。コルンゴルトはそのような大作曲家の先輩の作品を研究し、そのスタイルに則って「ドン・キホーテ」の音画を書いたのでしょう。
下に揚げる楽譜は第4曲の「トボソのドゥルシネア姫」の冒頭部分です。フォーレが好きな人にも気に入ってもらえそうな気がします。

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(続く)