HOME  >  オケ/室内楽   >   5月12日生まれ

5月12日生まれ

5月12日生まれの作曲家をあげると、古い人では、ヴァイオリンの中級者のレッスンに大事な協奏曲を書いたヴァイオリニスト、ジョヴァンニ・バティスタ・ヴィオッティ(1755年生まれ)がいるが、近世ではフランスの作曲家、ジュール・マスネー(1842年生まれ)とガブリエル・フォーレ(1844年生まれ)の二人がいる。

フォーレについては、最近書いたので、マスネー(Jules MASSENET) について書こうと思う。

 

マスネーという作曲家でまず有名な作品は、なんといってもオペラ《タイース》のなかの間奏曲が単独で演奏されるようになった《瞑想曲》、いわゆる「タイスの瞑想曲」で、これは原曲からヴァイオリン独奏が旋律を演奏する曲だが、現在ではほかの弦楽器(チェロなど)や、ピアノ・ソロなどでも広く演奏されている。マスネーのもっともよく知られている曲だろう。

この他に、一部の曲がピアノでも演奏されることもあるオペラ《ル・シッド》が、オーケストラ曲として時々演奏されるバレエ音楽が含まれていて、やや知られている。

 

しかしマスネーのオーケストラ曲として素敵な作品は次の2曲、管弦楽のための組曲第4番の《絵のような風景》、そして同じ第7番の《アルザスの風景》だ。

マスネーはこの「管弦楽のための組曲」というオーケストラ曲を全部で7曲書いていて、第1番にタイトルをつけなかったほかは、すべて《...の風景》というタイトルが付けている。

ずっと以前、もう何十年も前、オイレンブルクが大変多い点数のポケット・スコアを出版していた時に、この2曲もカタログに載っていたので出版があったはずなのだが、残念ながら筆者は年代的にオイレンブルク版の《絵のような風景》《アルザスの風景》を実際に見る機会を逸し、もちろん今ではカタログでなくなっているため幻となっている。それ以来ポケット・スコアの出版は他にもないようなので、この作品のスコアは手に入れ難い。(どうしても欲しいという人はKalmusの指揮者用スコアを探そう。)

 

絵のような風景》は、愛らしい魅力がいっぱいの「行進曲」、チェロパートが長い旋律を朗々と歌う「エール・ド・バレエ」、鐘を模したホルンがあたりに響き渡る「アンジェルス」、そしてファンファーレに続いて賑わう祭りを表わした「ジプシーの祭り」の4曲からなっている。7つの組曲の中では演奏の機会に恵まれている作品。

アルザスの風景》は、その名の通りアルザス地方の、平和な日曜日の朝から夜までの一日の様子を描いた4曲で、チェロとクラリネットのソロの会話が美しく静かに流れる第3曲「菩提樹の下で」や、真ん中でホルンが乾杯の音頭を猛々しく吹く第2曲の「酒場で」、アルザス民謡による舞曲が盛り上がったときに軍隊の帰営ラッパが聞こえて民衆の熱狂が一時静まるが、ラッパが遠くに去るとそれまでの楽章の旋律も巻き込んで再び熱狂的な踊りの渦となる終曲の「日曜日の夕べ」など、どれも描写的で、マスネーの特筆が発揮された魅力的な音楽。

どちらの組曲も、はじめて聞く人にも面白く聴けると思うので、オーケストラに興味がある人は聞いてみられることをお勧めします。

カレンダー

<   2010年5月   >
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31