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じつは楽しい連弾曲だった! シャブリエの《楽しい行進曲》

狂詩曲《スペイン》といえば、華やかなオーケストラの名曲集といったタイトルのCDでは、その7, 8割に入っているほどのポピュラーな作品です。

作曲家エマニュエル・シャブリエ(1841-1894)がその名作を発表して間もなく、1883年にフランスの出版社エノックに──「私は4手のため(=連弾)の、文句なくやさしい小品を作っています。それは6曲からなる組曲です」──と伝えましたが、それは出版準備がされたまま、長い間出版社の書庫で眠ってしまうという悲運に見舞われてしまいました。

その理由は予定の6曲が作られずに、現在まで原稿で残されている「前奏曲」と「フランス行進曲」の2曲だけしか書かれなかったからかも知れません。

しかしこの2つの連弾作品は、1888年にオーケストラに編曲されてシャブリエ自身の指揮で初演されました。そしてその時「フランス行進曲」は曲名を変えて、現在《スペイン》と並んで現在最も頻繁に演奏されているシャブリエのオーケストラ曲《楽しい行進曲》となったのです。

 

ところで《楽しい行進曲》のピアノ・ソロ版(編曲)は、全音でも「シャブリエ ピアノ・アルバム」(160251)に収められて出版されているので、音大ピアノ科クラスの腕前をもっている人は、この曲集を買ってバリバリ弾いてみて下さい。

しかしこのちょっと風変わりで楽しい曲をピアノで弾いてみたいけど「こんな難しいの弾けるか!」とちょっとピアノ・ソロで演奏するのに自信がないけれども、一緒にピアノを楽しむ相棒(仲間)がいるので連弾曲ならば、という人、またおもしろい連弾曲に挑戦したいので二人で連弾曲を探している!という方たちには、この連弾(4手)のために書かれた《楽しい行進曲》のオリジナル版である「フランス行進曲」をおすすめします。

もちろん冒頭に引用した作曲者の言葉のとおり、この連弾曲はとてもやさしく書かれています。また4手ということでピアノ・ソロ版より響きが厚くなり、オーケストラ版により近いサウンドで楽しめるというメリットもあると思います。

 

だけど、この曲のフランスの輸入版を買うのは、ちょっと面倒だし値段が高いよ!って?・・・ 

 

じつはこのやさしい連弾の「フランス行進曲」は、オリジナル出版社のエノックの他は、世界中でも日本の全音から出版されていて、全音のこの楽譜は日本全国どこの楽器店でもすぐに、お求めやすい値段で買うことができるのです!

 

【連弾オススメ楽譜】

・シャブリエ 前奏曲とフランス行進曲[連弾](全音ピアノライブラリー)

 ISBN978-4-11-160250-6  定価[本体1,000円+税]

 

 

 

butaneko